ケーブルを差すだけでは映像が見れない!?~ネットワークの知識が必要なカメラ~
近年、ネットワークカメラ(IPカメラ)が監視カメラのスタンダードタイプとなってきました。
しかし、ネットワークカメラはアナログカメラのようにケーブルを繋ぐだけでは映像を見ることができません。PCからIPアドレスなどの設定も必要なため、初めてネットワークカメラを取り扱われる際は戸惑われる方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは必要な機器やIPアドレスの設定方法などを解説していきます。
用意する機器
- PoE給電器
ネットワークカメラの多くはPoE(Power of Ethrnet)に対応しています。PoEに対応しているネットワークカメラの電源供給には、このPoEに対応した給電器が必要になります。PoEに対応していないネットワークカメラは、別途ACまたはDC電源をご準備ください。
PoEにつての詳しい説明は以下のページをご参照ください。
- LANケーブル
映像等のデータ伝送や電源供給はLANケーブルで行います。PoE給電にはカテゴリ5以上のLANケーブルを使用してください。 - PC
ネットワークの設定や映像表示を行うPCが必要になります。LANポートつきのPCをご用意ください。
機器の接続
カメラを以下のように接続します。
PoEインジェクタは、カメラ側のLANケーブルを接続するポートとPC側のLANケーブルを接続するポートが決まっている場合がありますので、本体の表示や説明書を確認のうえ、正しく接続してください。
カメラの映像を表示する
機器を接続し、PCを起動してカメラ映像を表示します。
ここではカメラのIPアドレスは「192.168.0.90」とします。
PCのIPアドレスの確認方法
カメラに接続する前に、PCのIPアドレスがカメラと通信できるアドレスに設定されているか確認する必要があります。
以下の手順でPCのIPアドレスの確認・設定を行います。
※Windows11の場合
①スタートボタンから「設定」を選択します
②「ネットワークとインターネット」から「イーサネット」を選択します。
③「IPv4」の項目からノートPCのIPアドレスを確認します。
PCのIPアドレスを設定する
ノートPCのIPアドレスが「自動(DHCP)」になっている場合は、「手動」に変更してIPアドレスを設定します。
(コントロールパネルからIPアドレスを変更するときは、「インターネットプロトコル バージョン4(TCP/IPv4)のプロパティ」から「次のIPアドレスを使う」を選択してください。)
カメラのIPアドレスが「192.168.0.90」のとき、PCのIPアドレスは「192.168.0.90以外の0~255までの任意の数字」を入力してください。
※IPアドレスは同じアドレス同士で通信することができません。複数のネットワークカメラと接続しているとき、またはカメラ以外のネットワーク機器と接続しているときは、IPアドレスが競合しないようにしてください。
サブネットマスクとは?
IPアドレスの設定欄の下部にサブネットマスクの設定欄があります。
サブネットマスクは、IPアドレスのネットワークアドレスとホストアドレスを分ける働きをしています。
「255.255.255.0」のように10進数で表され、255の部分がネットワークアドレス、0の部分がホストアドレスです。
IPアドレスは「192.168.0.90/16」のようにビット数が記載されていることがあります。この場合、サブネットマスクは16bitの「255.255.0.0」になります。
ネットワークアドレス | ホストアドレス | ||
192 | 168 | 0 | 11 |
255 | 255 | 255 | 0 |
「ネットワークアドレス」はどのネットワークなのか、「ホストアドレス」はネットワークの中のどの機器なのかを表しています。そのため、ネットワークカメラとPCのIPアドレスのネットワークアドレスが異なっている場合や、ホストアドレスが一致している場合は通信ができません。
ブラウザからカメラにアクセスする
以上の設定が完了後、ブラウザ(Google Chrome、Edgeなど)URL欄にカメラのIPアドレスを打ち込みます。
検索するとカメラのログイン画面が表示されます。ログイン情報を記入し、ブラウザ監視画面から映像をご確認ください。
ネットワークカメラと接続できないときは
以上の設定を行ってもカメラと接続できないときは、以下の方法をお試しください。
カメラとの通信を確認する
Windowsのスタートボタンからスタートメニューを立ち上げ、検索欄に「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを起動します。
C:\Users\ユーザー名>の後に「ping カメラのIPアドレス」を入力してEnterキーを押します。
カメラと通信できていると、以下のように表示されます。
カメラと通信できていないときは、以下のように表示されます。
カメラと通信できない原因
カメラと通信できない場合、以下の原因が考えられます。
IPアドレスに不備がある
- セグメントが異なっている
- サブネットマスクが異なっている
- アドレスが競合している
PoE給電器の電力不足
PoEにはPoE、PoE+、PoE++など種類があります。カメラに適合した規格のPoE給電器を使用していない場合、電力不足でカメラが起動しないことがあります。カメラの電源の仕様をご確認ください。
ケーブルが抜けている
カメラや周辺機器に接続しているLANケーブル、電源ケーブルに抜けが無いか確認してください。
まとめ
カメラに接続できましたか?
ネットワークカメラ(IPカメラ)は接続するために知識が必要ですが、ネットワークについて理解することで遠隔での監視や大規模な監視システムの構築ができるようになります。